身体と自然の調和を目指す伝統医学
先日、「東洋医学ってどんなものなんですか?」というご質問をいただきました。
今回は、その疑問にお答えするために、東洋医学の基本的な考え方についてお話しさせていただきます。
■現代医学(西洋医学)との違い
私たちが普段受診する医療の多くは、現代医学(西洋医学)と呼ばれるものです。
これは、症状が現れている部位に対し、解剖学や生理学といった知識に基づいて診断や治療を行う医学です。
ピンポイントで原因を特定し、直接的なアプローチで改善を目指すのが特徴と言えるでしょう。
■東洋医学とは?〜数千年の歴史を持つ伝統医学〜
一方、今回ご紹介する東洋医学は、世界各地に存在する伝統医学の一つです。
(※東洋医学は非常に奥深く、その考え方も多岐にわたります。今回は、その中でも特に中医学の基本的な考え方を中心にお伝えさせてください。)
中医学は、中国において数千年にわたる豊富な臨床経験と、人体の生理機能や病気のメカニズムに対する長年の研究を基礎として発展してきました。
単なる治療技術だけでなく、哲学的な思想を色濃く取り入れている点も特徴の一つです。
■東洋医学の二つの基本的な考え方
東洋医学には、人体の捉え方や自然との関わり方において、主に二つの重要な考え方があります。
①【人体は統一体である】〜全身は相互に関連するシステム〜
これは、私たちの身体を構成する各臓腑、組織、器官といった全ての要素が、それぞれ独立しているのではなく、相互に密接に関連し合い、影響を与え合っているという考え方です。
例えば、内臓の不調が筋肉の張りにつながったり、精神的なストレスが消化器系の働きに影響を与えたりするといったように、一部分の不調が全身に波及すると捉えます。
もっと分かりやすく言うと…
内臓も、筋肉も、骨も、そして心も、ぜーんぶがお互いに深く関わり合って、一つのまとまった身体として機能している、ということです。
どこか一部分だけを切り離して考えるのではなく、全身のバランスを重視するのが東洋医学の特徴です。
②【人体は自然界と密接な関わりをもつ】〜自然のリズムと調和して生きる〜
私たちは自然の中で生活しており、気温や湿度、季節の移り変わりといった自然環境の変化から、直接的、間接的に様々な影響を受けています。
東洋医学では、人体も自然界の一部であり、自然環境の変化に合わせて身体が調整し、適応する能力を持っていると考えます。
そのため、自然のリズムに合わせた生活を送ることが、健康を維持する上で非常に重要だと捉えます。
もっと分かりやすく言うと…
私たち人間も、自然界という大きな家族の一員です!
自然環境に合わせて生活することが、人間にとっても最も自然で、心地よい生き方なのです。
無理に自然の流れに逆らうのではなく、調和していくことが大切だと考えられています。
■鍼灸における東洋医学的な施術
これらの東洋医学の基本的な考え方を基に、
鍼灸で行う施術は、症状が現れている局所だけを診るのではなく、
身体全体のバランス
そして、そのバランスに影響を与える
身体に関わる全ての要因(生活習慣、精神状態、環境など)
を総合的に評価し、それらを整えることを目指します。
東洋医学では、身体全体のバランスが取れた状態こそが ✨健康✨ であると考えます。
■おわりに
この記事を通して、東洋医学がどのようなものなのか、少しでも知っていただけたり、興味を持っていただいたりするきっかけになれば幸いです。
もし、身体のことで何か気になることや、東洋医学についてもっと詳しく知りたいことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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